週刊モモ

週刊とかあまりにも無理だった

大江戸線はふかい

大江戸線はふかい。おおえどせんはふかい。

大江戸線は東京の地下鉄の中で一番深い路線だ。

ながいながいくだりエスカレーターに乗ると、深くにもぐってしまう。多分東京で地獄に一番近い場所だ。そう思うと怖い。

エスカレーターだからいいけれど階段だったなら、降りている間に息がきれてしまう。

わたしは毎日大江戸線に乗って会社に通勤している。

 

 

新宿駅大江戸線に向かうエスカレーターには「エスカレーターでは歩かず立ち止ってください」と声をあげて注意喚起しているひとたちがいる。行きにも、帰りにもいる。一日中いるのだろうか。そんなひとたちを横目に多くのひとびとはエスカレーターの右側を足速に歩いているのに。

わたしは、なんだか悪いよなあと思ってエスカレータの左側で立ち止る。会社には一分前につけばいいし、家に帰るときもいそぐことはないから。

エスカレーターを歩いてはいけない文化はちゃんと広まるのだろうか。

 

 

今日はぼうっとしていたらエスカレーターをおり忘れてしまった。エスカレーターをおり忘れることなんてない。いつかはたどり着くから。

しかし今日のわたしはずっとエスカレーターをおり続けて、大江戸線を越えて深くまで行ってしまった。ずっと、ずっと下り続けた。

地下深く深くにたどりつくとそこには地底人がいてエスカレーターを動かすために、みんな忙しそうに働いていた。なるほどみんなが働いてくれるから、大江戸線まで息を切らさずたどりつけるんだなあと思った。

地底人はというと、ひとのようなかたちをしていて、ひとの言葉のような何かを話していた気がする。

最近カイジをよんでいるから、みんなもペリカを握りしめてキンキンに冷えてやがるビールでも飲んでいるのだろうか、と考えに耽ってみたりした。過酷な労働環境を思うと涙がでてくるような気がしないでもない。

 

 

働くってことは組織に属することだなあ、と思う。

この間、会社でわたしの属する総務のミーティングがあったとき、組織の売り上げ向上のための働き、ということを忘れないでほしいということを言われた。

先週はやることがなさ過ぎて暇すぎて在宅中に映画を見ちゃったりしたけど大丈夫かなあ。テッサバイオレットのboredを聞いたりもした。

私はちゃんと働けているだろうか?

転職して、かなり小さな会社で働けているのは、なんだかんだ私にはあっているんじゃないかなとは思う。でもちゃんと給料分の働きができているかは謎だ。

 

 

昔から集団に属するということが割と苦手だ。

幼稚園の時は自由に生きすぎていたのでわたしはみんなと集団行動ができないことが問題視されて、先生とは別に観察員みたいな大人がついていたらしい。

幼稚園の制服はきてなかったし、持っていきたくない時はカバンだってもっていかなかった。背中に風呂敷をまいて園に行っていた。お弁当は優しいみんながカンパしてくれた。それが一番おいしい弁当になったりするのだ。

登園したくなくて近くの公園でお母さんと遊んでからじゃないと園にいけなかった。遅刻なんて当たり前だったのだ。

人生で一番とがっていた時期かもしれない。問題児だったのでお母さんは園長先生に何回も呼び出されていた。

 

小学校のときも、ふと学校にいく意味がわからねえ…となって先生に正直に言って休んだことがある。担任の先生に心配されてお手紙までもらった。そんなたいしたことはなく、ただなんとなく行きたくなかっただけなのに。

高校はとにかく嫌いだったのでいつも遅刻していた。

朝はおきれるし電車にも乗れる。途中までは行けるのに、学校めんどくさいなとなってマックによって持ち歩いてた本を読んだり、タワレコで音楽を聞いていたりした。

幼稚園のときとは違ってさすがに親は遅刻の回数に怒っていた。でも学校が嫌いだったんだもん、と思う。

 

大学もなかなか熱心には通えなかった。

勉強は嫌いじゃなかったけど、自分のペースで好きなようにやりたかった。好きな時に好きな本を読みたかった。日本史の研究室にいたのに、現代アートの授業を熱心に受講していた。

北斎がすきだから浮世絵の勉強をしたいと思っていたけど、普通に絵を眺めたりすることだけが好きで、背景を詳しく勉強したりしなくていいなと途中で気が付いてしまった。

そんなわたしはゼミ発表をすっぽかしたりもしていたし、研究室のみんなは賢くてまじめでわたしみたいなやつがいてごめんなさい…と思っていた。

卒論指導担当の先生は優しくてめちゃくちゃ助けてくれながらわたしはクソみたいな論文をかきあげた。先生と話しているときは卒論を書ける気がどんどん湧いてきたのに、先生との面談がおわった瞬間から卒論が書けなかった。

 

思えばちゃんと学校にかよっていたのは中学生くらいだなあ。

でもすべての時期がわたしには必要な時間で、必要な経験だったと思う。今だってそう思いたい。

 

 

今はラインが苦手かもしれない。みんなにたくさん話をするのは好きだけど、人とつながりすぎてしまうことが怖い。

どんどん増えていくライングループにも嫌になっちゃう時がある、なかなか返事できなかったりしてごめんね。

 

 

気が付いたらわたしは大江戸線に乗っていて、会社の最寄りについたから会社に向かった。会社には始業の一分前についた。何食わぬ顔で仕事をはじめて、眠かったので小さなガムを2つぶ噛んだ。

まだ1日の始まりなのに、わたしは地下に潜って地上にでてきたんだ。

 

 

 

おわり