このあいだはじめてアイドルとチェキを撮った。
私には、ほのちゃんという小学校1年生のときからのお友達がいるのだが、彼女が好きなアイドル”リルネード”の新曲「夏のレコードがまわりだす」のリリースイベントに誘われたので行ってきた。
私がせっかく伸ばした前髪を、自分の納得のいくように美容師が切ってくれなかったことをきっかけに、最近いいことがマジで続かなかったためめちゃくちゃ落ち込んでいた日があった。(ゴミメンタル…)
美容院から家までの帰り道は土砂降りだった。ズボンのすそが濡れてとにかく気持ち悪かった。
次の日の朝、髪型のことを考えると悲しくなってしまっていたので、美容室に電話してその日中に手直しをしてもらうことになった。次の日も雨が降っていたので、ほのちゃんが車を出してくれて美容室までいった。
当たり前だが服は全然濡れなくて、体も重くならなかった。昨日は一人で雨の中あるいていたので、悲しみがずぶずぶと自分の中に入り込んできたけど、髪型も、まあ、どうにかなったし、ちょっと元気が出た。
美容院からほのちゃんちに帰り、ほのちゃんが好きなアイドルのライブ配信を見始めたので一緒に見た。それがリルネードの栗原舞優ちゃんという子だった。
「まゆちゃん、かわいーね。私もあってみたいなあ…。」
「マジ!?会おう!」
というそのときの二言三言で舞優ちゃんに会うことが決定した。
ちょうどその日から東京の各所でリリースイベントのミニライブと特典会がはじまっていたようで、会える機会があったのだ。
あってみたいな…から実際に会えるまでのスパンが短すぎる。ありがてえ。
平日水曜日、ふたりとも在宅勤務だったが、退勤後に頑張って地元から急いで渋谷のヴィレヴァンに行った。
レジでリルネードの一枚1500円のMカードというものが売っていた。CDではなく、曲をダウンロードできるカードみたいなやつだ。
1000円ごとに一枚の特典券がついていて、券の数によって受けられる特典が変わる。
ほのちゃんからはせっかくだから、チェキとろうよ!という提案を受けた。チェキを撮るには特典券が二枚以上必要なので、Mカードを二枚購入する。
こちらでお待ちください、とヴィレヴァンの金髪の店員に案内された。
19:00からのライブで結構ギリギリだったので、うしろのほうの立見席でまつ。ほのちゃんは眼鏡をかけはじめた。
「せっかくゆみちゃんがきてくれるならもっといい席でみせたかったんだけどね…」
と残念そうなほのちゃん。実はその日のMカードもずっとおごるよ!!と言ってくれていたけど、いやいや!大丈夫だよ!といい自分で買った。ありがとね…。
ライブが始まって、新曲を3曲を歌ってくれた。
リルネードは三人組なのだが、みんなそれぞれ違うタイプの可愛さで、生でみたほうがやっぱ全然かわいかった。やっぱアイドルだね…。
ファンのひとたちも座りながら、または立ったまま振りをコピーしてて、やっぱそういうのいいよな、と思った。「推し」てるぜ、って感じが伝わってきて。
コロナの関係でコールとかできないんだもんな…と思うとオタクではないのに切なさを感じてしまった。
わたしはというと新規感まるだしで、顔のしたで音が鳴らない手拍子をしながら手のやり場を処理していた。
ライブが終わると、特典会が始まる。三人それぞれ、チェキをとりたい子の前に並ぶ。ほのちゃんと一緒に栗原舞優列に並ぶ。
まじではじめての経験なので、並び始めるとめちゃくちゃドキドキしてきた。
あんなにかわいい20歳の女の子と、25歳普通OLの私があんなに近くなるなんて…何話せばいいんだ…。
わたしはまあ正直、人見知りなほうだと思う。初対面の相手と、緊張しているときは特に全然しゃべれない、もしくはかなりそっけない感じになってしまう。
ちゃんと喋らなきゃ…と思うと、また熱くなってきた。
緊張しているとき、何か頭がてんぱっているときわたしは結構頭の中で音楽を流して落ち着かせようとしがちなのだが、その時流れたのはNUMBER GIRLの「SENTIMENTAL GIRL'S VIOLENT JOKE」だった。なんでこの曲なんだ…!!!!
向井のフェンダーテレキャスターがの音が戦いに向かうオープニングのようにわたしの背中を押しはじめる。先にほのちゃんの番がきて、舞優ちゃんがいる壇上に上がる。
ハァ…よし
殺人的なジョークで死にたい
殺人的なジョークで死にたい
殺人的なジョークで死にたい
という歌詞を三回頭の中で唱えた。完全にヤバイ女だ。いやでもそのくらいドキドキしてしまっていた。
ほのちゃんの番が終わるときに、次の子、わたしが連れてきた友達なの!と舞優ちゃんに伝えくれていた。
「次の方どうぞー」
ヴィレヴァンの茶髪メッシュの店員がわたしを案内する。
ま「ほのかちゃんのおともだちなんだ!きてくれてありがとうね!!」
ゆ「あ、はい…。そうなんです。」
ゆ「あの…。こういうの…はじめてで…」
ま「あ!そうなんだアイドルのチェキってこと?」
ゆ こくこくうなずく
ここまででどちらが年上なのかわからない。
ま「どんなふうにしたいとかある?」
ゆ「あの…がんばれって感じで…」
ヒロアカのお茶子ちゃんみたいなことを言ってしまった。
そして「がんばれって感じ」のガッツポーズでツーショットのチェキをとる。
ゆ「あの…配信のやつを、ほのちゃんちで一緒に見てました。2位おめでとうございます。」
ま「あ!ありがとう! あの噂のおうちで!」
ゆ(な…、、、ほのちゃんちに入り浸っていることがバレている…)
後で聞くと、ほのちゃんがおうちで友達とみた、ということを舞優ちゃんに言っていたらしい。
ゆ「あの…ライブもよかったです。衣装もかわいくて…。」
ま「ありがとう!うれしいー!!!」
ここまででわかる通り、たぶんわたしはすべての発言の最初に「あの…」をつけていたと思う。とにかくおどおどしていた。
茶髪メッシュ「はい、次のかたどうぞー」
時間になり舞優ちゃんに別れを告げ、駆け足でほのちゃんの元に行く。
これがアイドルとのふれあいか…。
チェキを見ると、舞優ちゃんとのツーショットのチェキに日付と舞優ちゃんのサインが書かれていた。
わたしは自分の見た目がかなり嫌いなので、写真をとられることがすごく苦手だ。チェキを見ると、自分を外見を客観視してしまい、うわわたしやっぱデカいな!!キモ!!と思った。
だが、となりの舞優ちゃんはかわいかったし、直筆サインもくれるし、これはたしかに大好きなひととできるとなると、ファンはたまらないな…と思った。
それにやっぱり普通に楽しかった。
ほのちゃんと調布に帰り、コンビニでごはんを買ってほのちゃんちで食べた。
生春巻きと三ツ矢サイダーという謎の組み合わせにしてしまった。
そのあとほのちゃんとだらだらしながら、よるまで話して家に帰った。
わたしは何かにドはまりして、それを一生懸命追いかける、となるほどの趣味がない。いわゆる「いきがい」のようなものだ。
アイドルはファンの「いきがい」を生んでいるようなイメージがある。そのこのために何かしてあげたい、みたいなのがずっとあるひとたちの、少しだけだけど一部になれた気がして、うれしかった。
最後に(たぶん)リルネードの代表曲を貼っておこう。
わたしがこの曲で好きな部分は
そうほら突然、なんかリップの色が違う気がして
お急ぎ便でも間に合うわけないし、なやむ!
ってところ。
お急ぎ便で間に合わなくて、悩むことろが良い。