週刊モモ

週刊とかあまりにも無理だった

タバコを吸うヤツら

 

 

わたしがタバコを好きかどうか、ということはまるっきり置いておいて、タバコを吸うヤツらの姿は、なんだかんだ愛おしさを含んでいる、とわたしは思っている。

最近は吸う場所もかなり少なくなってきていて、分煙が進んでいたり、喫煙所が減ってきたりしてるとは思うから、喫煙者は生きにくい世の中なんだろうなと思う。

肩身が狭い中、みんなで灰皿の前に集ってタバコを吸っているひとたちをみるとなんかちょっと、面白さとかかわいさをかんじてしまう。

朝、自分の家をでて駅まで歩く間にファミリーマートがあって、ファミマの横に灰皿が置いてあるのだが、毎日2,3人男性が集まって朝からタバコを吸っている。しかも毎日毎回同じ人ならわかるが、ぱっと見そういうわけでもなさそうだ。

その姿をみていると、家族に注意されて家では吸えないんだろうか、とか思ってなんだがおかしく感じてくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「朝起きてかならず一本の煙草を吸うことにしている人の生活を思い描くと広々とした気分になる。屋外で煙草を吸うというのは、その季節ごとの空気を吸い込むことだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昔は1番身近にタバコを吸うのはお兄ちゃんだった。

母もキッチンの換気扇の下でよく吸っていたが、家族にはバレないように吸っていたようだ。ちなみにバレバレだった。どう見ても灰が落ちっぱなしの時があったし、急にキッチンに行くとびっくりしてタバコの火を消す母に遭遇したりしてたが、いや、隠すの無理あんだろ、と思ってた。お父さんはタバコが嫌いだったし、兄に吸うなと注意しておいて自分が吸ってるのが気まずかったっていうのも多分あんだろう。

 

 

 

 

ちなみにわたしには兄が2人いるが、長男の方だけがタバコを吸っている。(いやわからん、けど次男は少なからず私の前では一度も吸ったことはない。)

 

 

 

わたしは次男との関わりでは、今までの人生で嫌な想いをしたことが一度もないと確信を持てるが、長男にはこどもの頃はいつも嫌な気持ちにさせられてた気がする。

 

次男とは全く、ほんとにほんとに一度も喧嘩をしたことないが、長男とは数えられないくらい喧嘩をした。年を重ねるにつれて、仲が悪かったので長男とは会話自体が減っていたけど、小学生の時、わたしがもうなんかめちゃくちゃ悔しくて泣きながら兄にランドセルを投げつけたことと、言い合いになって家から出てけと言われて(なんで?兄は家主でもなんでもないのに)すごい寒い冬に玄関の外で泣きながら数時間立っていた(幼かったのでどこに行ったらいいかわからなかった)記憶だけなぜか鮮明に覚えている。

当たり前だが、女だし年下だったのでわたしはめちゃ弱だった。このあいだお兄ちゃんがいる友だちとたまたま家族との関係の話をしてて、小さい頃の兄との喧嘩はボコボコにされちゃうよね〜っていう話をした。これは兄妹あるあるなのではないだろうか。

わたしはいつも言い負かされて泣いていた。

 

 

 

子どもらしい喧嘩ももちろんあったけど、未だに思い出すと嫌な気持ちになる思い出もある。人のせいにするなという感じかもしれないが、結構私の自己肯定感の低さはこの長男に由来してるところが少なからずあると思う。容姿とか、見た目的なところを一通り散々否定された。趣味とかもキモいと言われていた気がする。わたしは嫌な思い出ばかり覚えているのが悲しすぎるし根暗すぎるなあ。

 

 

 

 

お互い大人になって(いや長男はわたしより5歳も上だが…)、ここ2、3年くらいで最近やっと長男をほんの少しだけ受け入れられるようになった気はする。

あんまよく覚えてないけど、大学生の頃までは確実に嫌いだった。結構存在が苦しいレベルだった。

 

 

 

 

かなりわたしの卑屈フィルターがかかってたような気はするが、大学の友だちはみんな素敵な家族の中で育ったよ、みたいな感じの子が多くて、まあ最低限うちみたいに問題を抱えてる感じではなかったのであんまりちゃんとまわりに悩んでることの相談とか、話もできなかった気がする。

いやでも自分と違う環境の家族の話されても困っちゃうよねえ。

 

 

 

 

大学生のときにバイトしていた居酒屋の店長に、まあまあ仲良かったから話してみようかなと思って自分の家族の話をわりとほぼ全部話した時、多分悪気なくだと思うが、結構それ終わってる家族だね、とハッキリ言われたのを覚えている。(ハッキリ言い過ぎじゃないか?)

 

長男もそのころはまだ中学の時からの反抗期が一生おわんないんじゃないかとわたしは思うくらい(結局14,5年くらいは反抗期だったんじゃないか?と勝手に思ってる)だったし、ちょうどそのとき次男の病気もあって、たしかに家の雰囲気は終わっていたのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

子ども3人がまだ実家にいた頃、兄2人が広い同部屋で、わたしは小さめではあったが1人部屋を与えてもらっていた。

わたしの部屋にはベランダがついていたのだが、タバコを吸うときは長男はわたしの部屋のベランダで吸ってた。

でも兄の部屋にもベランダはあった気はするが、多分お父さんの部屋から見える位置だったからだろうか、わたしの部屋に来ていた。

 

 

 

わたしの記憶では長男は未成年の時からタバコを吸っていたような気がする。長男はとにかくかっこつけ男だったのだ。タバコを吸ってる俺、、、イケテルナアみたいな感じでタバコを吸い始めてたと、わたしは思ってる。

 

 

多分わたしの部屋に来るときは比較的機嫌がいい時だったと思う。

コンコン、とノックをして、その時だけわたしに頼み事をする。

「タバコ吸っていい?」

断れもしないので、勝手にどうぞ、とわたしは言った。

 

 

 

 

お兄ちゃんはたしかアメスピのオレンジか黄色…を吸ってた気がして、長州小力と同じ銘柄なんだ的なことを自慢されたことがあるが、それって自慢になんのか?長州力じゃなくて小力の方かよ…。まあその時はたしかにテレビをつければ長州小力が出ているみたいな時だったかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

話は変わるが前にタバコをめちゃくちゃ吸う人と付き合ったことがある。

まあ正直ヘビースモーカーってどっからなんだろ?とは思ったけど、その人も自分でも馬鹿みたいに吸ってるって言ってたから、

めちゃくちゃ吸う人という認定をしてもいいだろう。

 

 

朝起きたらまず布団の中でタバコを吸って、ご飯を食べたらタバコを吸って、どっか出かけて帰ってきたらタバコを吸って、飲みに行けば酒を飲む時間以外はタバコを吸って、トイレ行ったらタバコ吸って、風呂出たらタバコ吸って、寝る前にタバコ吸ってた。

ひとつのアクションにつき一回の喫煙、みたいな人だった。充電満タンのアイコスを2本持ち歩いてて片方切れてももう一本で吸えるようにしてた。でも紙タバコも1日1本は吸っときたいかな、と言っていた気がする。

いや、思い返すと普通にめちゃくちゃ吸ってんな。

仕事中よく我慢できんね?と言ったけどタバコのことを思い出さないようにしてると言っていた。

 

 

 

基本的には電子だったというのがかなりデカいが、わたしはその人のタバコをそんな嫌に思ってなかった。外の喫煙所とかでタバコを吸ってるのを待つ時間も別に苦じゃなかった。

ほんとに時々、タバコを吸えるごはんやさんを探すとなったらそれが多少だがめんどかったくらいだろうか。

 

 

タバコを吸ってるのを見てて、へえ〜すごいな、といつも思ってた。何がそんなにあなたを夢中にさせるの?そんなに吸いたいってすごいよ、と謎に感心していた。

 

 

その人の人生のベストタバコは、シンガポール?マレーシア?だか忘れたがどっかそこらへんで現地の人がいれた死ぬほど甘いチャイを飲みながら(チャイってインドにしかない?多分とにかくスパイスの入った甘いミルクティー)全然整備されてない道の傍でふかした紙タバコらしい。それはありえないくらいうまかったそうだ。いいじゃん、その思い出。ずっと大切にしてくれ、とわたしは思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

小学校と中学校の時に通ってた地元の小さな塾の講師は、みんな面白いくらいことごとく喫煙者で、授業と授業の休み時間になるたびに塾の入り口の看板があるところでタバコを吸っていた。タバコ吸ってる所に行って質問したりすることもあった。そんなときはその人たちはタバコを吸いながら質問にこたえてくれたりしていたのだ。

そのうちの1人(算数・数学の先生)がわかばを吸ってて、「わかばはな、安いんだよ」と言ってたので、あぁ〜こんなに頑張ってうちらに勉強を教えてくれているのにこの人は薄給なんだな…そして薄給のなかでもやっぱりタバコは吸いたいんだな…となぞに子どもながらに思ったりした。

今思えば小学生の前でも普通にめちゃくちゃタバコ吸ってたが、親から苦情とか来なかったんだろうか。

あのときの講師たちはなんかみんなキャラ濃くてウケたな〜、なんであんなキャラ濃い人間が集まってたんだよ、そういう採用の仕方か?

いまとか何してんだろ、と思うとちょっと笑えてくる。うちらはほんとクソガキだったのに、勉強を教えてくれてありがとうって感じはする。

 

 

 

 

 

 

 

まあ別になんも考えずに吸っているんだろうとは思うが、吸わないとソワソワして、イライラしちゃうなんて、。、たばこの箱にもたばこは体に悪いです、てきなことが書かれているのもウケる。まあ一応一般的な嗜好品なのにまさに依存って感じで、タバコを吸い続ける人がたくさんいるのはものすごく不思議なことだ、とわたしは思ってる。

 

 

 

 

 

 

友だちととある邦画を映画館で見た後、友だちが映像として出てくるタバコの量(頻度)と、映画の内容の良さは反比例するという説があるという話をしていた(わかんないけど邦画だけの話だったかな?)。

そのときに見た映画は、もうまさにゴリゴリの邦画の雰囲気満載の映画で、たしかに主人公がエモい顔をしながらしょっちゅうワンルームのアパートの換気扇下でタバコを吸っていた。いまその映画のタイトルをググってみたら、映画のポスターさえも主人公がタバコを片手に持っていた。

 

 

 

たしかにタバコで作品の中の全ての曖昧なニュアンスや世界観を表現してしまうのは愚かだとは思うが、

逢坂剛の作品でバカスカとタバコを吸う奴らはとてつもなくかっこよく思えたし、どんぐりと山猫で山猫が一郎に巻きタバコを勧めるのもなんだかおかしかったし、ノルウェイの森のタバコもドライブマイカーのタバコも、ちょっと思い出しただけで伊藤沙莉が吸ってたタバコも、姫野先輩とアキくんがタバコを吸うのもわたしは全部好きな気がする。

 

 

 

 

 

 

マルボロは女の子の吸うタバコじゃないよね」 

「どれだって変わらないわよ。どれも不味いんだもの」 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

母はもうだいぶ長いこと(多分予想では15年くらい)タバコを吸っていないようだが、わりと最近(おととしくらい)にタバコ吸いたくなることないの?って聞いたら正直あるよ、とは言ってた。マジ?こんなに長いこと吸ってないのに?

 

 

 

 

 

ちなみにわたしは心がグレていたときはタバコを吸ってみたりしたけど(王道のグレ方だよ)、全然ハマらなかったなあ。

夕闇がyoutubeで1週間アイコスを吸ったらハマるのか?みたいな企画で、まんまとハマってて喫煙者と化してたけど、わたしは2ヶ月くらい吸ってたけど全然もう今吸わなくてもいい。1日の量とかもあんだろうか。

 

 

前の会社の同期と飲む時は、仲良い男の子たちはみんな飲み会の途中で外に行ってタバコを吸ってて、一本もらって吸ったりしたこともあった。そうやってみんなと話すのは嫌いじゃなかったよ。タバコの吸い方教えてくれてありがとう。

そういえば最近もらいタバコは良くないみたいな本を読んだけど忘れちゃったな。

 

 

 

 

まあわたしがそんなにタバコに嫌なイメージがないのは、まわりの吸う人がそもそもそんなに多くないということと、吸っている人もマナーを守って、非喫煙者を気にかけている人が多いからなんだろうとは思う。狭いところで紙タバコをばかすか吸われていたら流石に嫌かもしれない。

 

 

 

 

 

 

寝られない夜、深夜にこっそりベランダでタバコを吸ってみた。(賃貸のベランダでタバコ吸っちゃダメ?だと思います)。

タバコの良さは、まあ正直わからなくはない。何もない時間を、タバコを吸う時間にできる。

 

 

 

 

 

まだ若かったのにそんな美味しいとも思ってなかったんだろうな、とにかくお兄ちゃんは家のベランダでタバコを吸っていた。

 

わたしにも反抗期はあったけどお兄ちゃんはわたし以上にいろんなことに反抗していて、ここには書けないけど色々やらかして、機嫌を損ねるとわたしにあたって、わたしはほんとにお兄ちゃんが怖いし嫌いだし一緒の空間にいるのも嫌な時もあって、ほとんど口を聞かない期間もあって、それでもいつもカッコつけて生きてた気がするけどわたしからしたらめちゃくちゃカッコ悪かったよ。でもそれがお兄ちゃんだったなと思う。

 

 

 

 

わたしの部屋のベランダで、お兄ちゃんがひとりでタバコを吸う背中を、わたしは何故か見てしまうことが多かった。

わたしはそのときは純粋に兄がタバコを吸う意味がカッコつけ以外にほんとに訳がわからなくて、なんでタバコなんか吸ってんだろ、と思ったけど、わたしも心が荒んだ時にタバコを吸ってみようとなったから、なんかそんなわたしと変わんない理由があったのかもなあ。カッコつけでタバコを吸うのも別に悪くないのかもしれないし。

 

 

 

お兄ちゃんは、夜の実家のベランダで、口から出る白い煙と暗い空を見て、何を思ったんだろう。

「一本いる?」

とたまたま一回だけ言われて拒否した(これも未成年の妹にタバコを勧める俺かっこいいとか思ってたのかもしれない)、あの時わたしは高校生だったが、試しに吸ってればなんかお兄ちゃんに共感できたのだろうか、

 

 

 

 

と、わたしも自分の吸うタバコの煙と、ずっと上にある空を見て思った。